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111 同年代三人の方々の死と落ちているのを見て、ふたたび意識を失った。どうにか比治山までたどりついて、水溜りに写った自分の姿を見て、また大橋さんは気を失った。 意識の底で、兵隊たちが次々と死体をトラックに乗せているのがわかった。大橋さんは気を失っている間に、死者として死体の山の中に積まれていた。「私は生きているんだ」と一生懸命言おうとするが、どうしても声が出ない。身体が少しも動かない。死体の山はだんだん小さくなって、兵士は自分に近づいてくる。とうとう、大橋さんもトラックに乗せられたとき、兵士の手に大橋さんの足がピクリと動くのが伝わった。 「これは生きてるけん」 兵士は大橋さんをトラックから降ろして静かに地面に寝かせてくれた。 「助かった……」と思った大橋さんは、ふたたび意識がなくなった。 この日鶴見橋に出動した広島女子商一、二年生五百人のうち、二百六十二人が死に、そして行方不明となった。(『きみは ヒロシマを見たか』(広島原爆資料館)…から)同年代三人の方々の死飯田 勝子 その日、私はいつもと同じように家を出て、汽車に乗り海田市駅で下車しました。当時、私は女学院からの挺身隊の一人として矢野にある陸軍関係の支廠に勤務していましたが、日ごとに戦いが激しくなり、事務部門(本部)だけが県立海田高女の校舎の一部に疎開していました。海田市駅から徒歩で職場に到着したその時、原爆が投下されました。轟音に驚き、校舎の後の小高い山に駆け上って見ると、広島市の上空にきのこの形をした雲が、モクモクと煮えたぎるように下からわき上っては左右に分かれ、下に流れ落ちているのが見えました。市内の家にいる両親は? 広島二中に通っている弟は学徒動員で建物疎開に行っているはずで、私の心は不安でいっぱいになりました。でも、そ