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137 ヒロシマを語り続けるヒロシマを語り続けるサーロー節子 昭和二十年八月六日、私は十三歳で中学二年の動員学徒だった。私たち一部の生徒は爆心地から一・八キロメートル離れた第二総軍司令部で、敵の暗号を解読する作業の初日であった。 私たちは八時十五分、木造建築の二階にいた。ちょうどその時、柳内少佐が、「天皇陛下のために最善を尽くして、与えられた任務を全うしろ」という訓示を終えられたところだった。その瞬間、窓全体を覆う青白いマグネシウムのような閃光を見た。私の体が宙に飛ばされ、浮流していた時までの記憶はある。真っ暗闇の静けさの中で私が意識を取り戻した時に、破壊した建物の梁の下敷きとなって身動きできない状態にあることが分かった。奇妙なことに、死に直面している私に心の動揺はなく、平静に祈った。そのうちに「お母さん、助けて」「神様、助けて下さい」というクラスメートの微かな声が聞こえてきた。安藤さんの声は今でも聞こえてくる。突然、私の左肩をつかんで、「あきらめるな。体を動かし続けて早く逃げろ。自分が助けてやるから。左側に光線が見えるだろ。それに向かって這い出せ」と、軍人さんらしき人が命令した。 やっと崩壊した建物を這い出した時には、建物は既に猛火に包まれ、私の周囲にいたほとんどのクラスメートはその下敷きになり、焼死した。兵隊が「這い出た者は、早く二葉山へ逃げろ」と命令した。爆弾が投下されたのは午前中のことだったのに、周囲を見回すと暗闇の中を、市の中心から二葉山へ逃げている人々の行列を見た。人間とは見えない、幽霊のように足を引きずってゆっくりと歩いていた。よく見ると髪の毛は逆立ち、肢体は傷つき、裸に近く、焼け爛れたボロボロの服、中には全裸で赤黒く焼け爛れて腫れ上がり、目玉が飛び出している人もいた。皮膚と筋肉が骨からぶら下がり、火傷の痛みを少なくするために、