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gakuto
149 熱い、体が焼けるた。遠くの方で野犬の遠声が聞こえる。まだ市街の所々にはボーボーと火の手が上がっている。飛行機の爆音も聞こえる。しかし、同伴の三人とも死を恐れず、胆力もすわっているような気がした。 ちょうど、鷹野橋附近で、軍からカンパンの配給がなされていたので、それをもらって、そんな子供たちに渡してやったら、ただ「有難う」と云っただけで食べようともせず、グタリと倒れたままである。校舎の下敷きになって、腰部打傷のため歩行困難らしい。言葉もあまりない。私どももなんら為す術もなかった。多分、あの子供たちは、その当夜のうちに静かに眠ったことと想像する。 プールのそばにはたくさんの女子学徒が倒れていた。もう息が切れているのもある。二、三人の若い娘さん(中国配電)は「私らはここをはなれまいね」と固く抱き合ったまま、もう死の直前のようであった。この恐ろしい爆弾の威力と惨酷さには、実に身の毛もよだつ思いがした。そして、このたった一発の爆弾は、どんな爆弾なのだろうかと反問してみたが、さっぱり分らない。しかも、探し求めるわが子の姿は発見できない。不安と絶望の一夜は明けた。 翌八月七日、一中の生徒は、先生とともに日赤で手当てを受け、トラックで宇品に向かい、似島方面へ多数送られ、多くの兵隊さんが「一中の生徒を救え」と一生懸命にやって下さったという情報を得たので、私は早速似島に渡った。検疫所の桟橋を渡ると、物凄いほどの一般男女学生が避難し、実に凄惨、生地獄そのままの情況を呈していた。死体が、広い夏の草原に山ほど積まれ、それぞれに荷札様のもので住所氏名が死体にくくりつけてある。次から次へと軍船で、兵隊らしい死体が運ばれて来る。苦しさのあまり下水の水のところまではい出たまま倒れているのもある。 軍医がかけまわっているが、なかなか手は行きとどかない。うめき叫ぶ生死の境をさまよう群衆の中を、私は狂人の如く「一中の生徒はいないか」と絶叫して尋ね廻った。「ハイ、私は一中の生徒です」と、多数の患者の中からムクムクと頭をもたげて答える者が何人かいた。いずれも人間の姿とは思えぬ変り方で、ほ