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gakuto
164座ったままの死体、防火用水の中で黒焦げになった死体、苦しんで死んだのであろう、手足を伸ばしている死体、数限りない死体を見ながら歩いた。二度と思い出したくない記憶である。沈黙から語り部へ河田 嗣郎 「過き・けり 完たり・つ・ぬ・り 未む 受る・らる 敬る・らる 指す・さす・しむ 敬す・さす 推らし・べし・む・けむ・らん・めり・まし……」。ひょうひょうと、呪文をとなえるようなアオさん(関本雪象先生)の鼻にかかった声が聞こえてくる。 「何べんも、何べんも、よう聞かしてもろうたもんよのー」還暦を迎えてポプラの仲間の集まりで、中学一年の漢文の授業風景がよみがえる。たえて久しいことだ。人並に懐かしみたかった共感の思い出も、二十余万人もの犠牲者を出した原爆の惨禍と重なるがゆえに、ながい間、口をつぐませてきたのかもしれない。 ことしお袋が、ポプラの仲間にも送られて昇天した。九十二歳。寿光院妙量日文大姉。天地をこがした