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172くれと叫ぶ人の手に、最後には噛みついて、相手のひるむ隙に逃げた」という告白もある。ああ、人間の極限か。 自らも原爆を体験されている若木重敏氏は、詳細な資料を徹底的に調べ上げ、米国は「殺傷効果をよりあげることができる」ように、「警報を発令させて人々を一度は緊張させ、次いで外に抜け出して警報を解除させ、人々をすっかりリラックスさせ、その油断を見透かして爆撃した」と、反転無警告爆撃を推断されている。(「広島反転爆撃の証明」) 若木氏は言う。「戦争……は『アウシュビッツ』や『南京大虐殺』……のように人間の極度の残虐性を引き出すものである」。だから、「私の願いはこの本を原水爆反対、戦争反対の目的に使ってもらうことである」と。 私たちは、自分自身被爆し、家族や広島市民の地獄絵を見、人間の極限の残虐さも知った重い思いを持つ。その上、何もできないままでいることへの重い思いもある。今回の体験記の発刊が、原爆犠牲者のみ霊への鎮魂歌となり、私たちの持つ重い思いを、いくばくかでも軽くしてくれることを念ずるものである。