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概要

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253 くしくも親子の最期の対面くしくも親子の最期の対面本地シズヱ 原爆が投下せられた翌七日早朝より吾が子を尋ねまわって午後二時第二県女の校舎に着きました。校内の女生徒さんに「本地文枝の母ですが」と云いも終らぬ内に「本地さんなら帰っていますよ」との言葉に思いがけなく私は私の耳を疑いました。無意識の内に「早く??逢わせて」とせきたてるうちに作法室へ案内されました。室内には全身火傷の変り果てた人ばかりで、父母を呼びつゞけながら、のたうちまわっている姿は、さながら生地獄の惨状でありました。「これが本地さんです」と、指さされる生徒を見ますと皮膚が全部むげて、肉が赤とも黒ともわからず、目・鼻・口等ははれ上り変形して最早や化膿した所もあって、両手両足は棒の様にかたく、水ぶくれて全く我が子の面影はなく唯呆然として目の前が暗くなり倒れそうになりました。兵隊さんや生徒さんに励まされ、気を静めて恐る??「これは文枝ではありません、文枝は私に似て顔が小さいのですから」と申しますと「でも帰った時誰かと尋ねたら新庄町本地文枝と答えたのですから、よく確かめて下さい」と云われて私が「文枝ちゃん」と呼べば「お母ちゃん」と呼びかえしました。変り果てた我が子が、私を呼びながら苦しい中から精一杯甘まえ様とする姿を目の前にしてどうする事も出来ず唯「変った姿になったね」と狂い泣きするばかりでした。其時娘は見えにくい眼を私の方へなげかけながら、落ちついた言葉で「二人のお兄ちゃんの遺骨が帰った時には泣かなかったのでしょう、小さい兵隊の私が死ぬるのに泣いてはいけません。昨夜日浦さん(級友)が亡くなったからお墓へお花を供へてね」と日頃に変らず重傷者とは思はれぬ言葉に私は驚いて「文ちゃん何時そんな立派な神様の様な気になったの」と我が子ながら凡人とは思われず、自然に南無阿弥陀仏??と唱えますと、娘も南無阿弥陀仏??と唱