ブックタイトルgakuto

ページ
284/326

このページは gakuto の電子ブックに掲載されている284ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

gakuto

270かし、時間の経過は記憶を薄れさせます。 先日資料館を訪れて、感想メモを読みましたが、中・高校生の意見で「戦争中にうまれなくてよかった」「日本が戦争を止めたのはよかった」といった程度のものが多かったのには失望でした。 原爆だけでなく、学徒動員、工場で、また作業場で、空襲・事故等で死亡したり傷ついた人たちの激白を聞いて、運命の思いを強くし、補償要求の運動もしたことです。 しかし、被害者も体験者も年老いてきました。四年間島根に赴任していて、そこからヒロシマを見つめてきましたが、原爆も空襲も受けてない地域……。しかしそこでの戦後を長年過ごしてきた広島・長崎での被害者も老いて、しかも自ら体験記を書くことは容易ではないという状況です。 五十年、半世紀、それを過ぎると風化は一層進むかも知れません。だからこそ今が節目、私たちは、それにかかわらず、余生を反核、平和のために燃やし尽したいと思います。若い人たちに広い視野に立って平和を創り出す人になってもらいたいと思います。そのために客観的、歴史的に資料、証言をまとめて、確実な伝承をはかること、自から学び、活動してもらえるための提言、マニュアル作りに、残り少ない時間を没頭したいと思っています。 二十一世紀が、原爆も戦争もない人間みなが、生き甲斐のある世界であるように―。昭和5年10月26日生中学校三年生の時被爆