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gakuto
291 生涯で一番長い一日てくる。突如「助けてくれー」という叫び声に変った。三人が顔を見合せたが、自分たちのことで手一杯でどうにもならないという、言わずもがなの合意であった。 防空用具の方か、走りながら叫んでいる。「ガスタンクが爆発するどー、早よう逃げんと危ないどー。」 我々は、はじかれたように歩足を早めようとしたが、足が重くてもどかしい。それぞれ部位は異なるが、ひどいところは皮ふが紫に変色して破れ始めていた。早く治療を受けなくてはとはやる気持とうらはらに、絶望的な気持に支配されてきた。お互い無口で、黙々と歩いた。 ようやく皆実町三丁目の交叉点附近に到着した頃には、御幸橋方面から避難する人々と合流して大変な混雑で、宇品方面の電車通りはゴッタ返している。この様子では病院での治療は期待できないだろうと思った。 私は、A君に「日赤で治療してもらえるかのー」と問いかけたが、逡巡しているのか答がない。B君が、「御幸橋の交番で聞いてみたらどうかのー」と言いながら歩きだしたので同調した。 御幸橋方面からの人々の流れは一層多くなり、髪をふりみだした母親であろうか、子供の名前を叫び探し求める声は、自分自身の気持と重なりあって、やりきれない思いが募り目頭がうるんだ。 交番前は、負傷者が重なり合い警察官に情報を求める声が錯そうしている。「中心部方面へは、火災が大きくなっているので、通行することができない」とメガホンで言っている。やむを得ず再び陸軍共済病院を目指すことにした。 宇品方面への両側の家並みは、倒壊を免れているが、ガラス戸は吹き飛んでいる状況で、人影は見当らない。 ようやくの思いで陸軍共済病院に到着したが、負傷者が充満している、到底病院の中で治療してもらえる状況ではなかった。 病院の関係者か警防団の人が、負傷者を仕分けしている様子である。順番はなかなかこないが、遠目に見