ブックタイトルgakuto
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gakuto
296悔していた。 ふと、このまま川に落ちるのではないかという不安がよぎり、立ち往生する場面もあったが、なんとか渡りきった。 後を振り返ってB君を探したが、私の視界の中にいない、煙っているので遠くが見えないが、もしかして引き返したのかもしれないと思いながら、先に渡ったであろうA君を探したが、その期待を裏切られたようだ、しばらくの間探したが両君共発見できなかった。 支えあってここまできた仲間を失ったことで全身の張り詰めた力が抜け去り、その場に座り込んでしまった。絶望感から、これからどうすればいいのか、判断力を失っていた。 どのくらい放心状態であったのだろうか、ズドーン・ズドーンという大音響で正気にかえった。 横川駅の左方向で火柱が上がっている、何が爆発しているのかわからないが、不思議に危険を感じることはなかった。 あてもなく何とかしなければと立ち上がろうとしたが、尻餅をついた。 絶望的になって座り込んでいる私の目前の道路を、負傷した人の波が祇園方面へ流れていく。逆に市内へ向って救急隊の人が馬車やトラックに乗って、ひっきりなしに通り過ぎて行く。その中には炊きだしのむすびなどを運んでいて、私に大きな三角むすびと沢庵を手渡し「これ食べて元気出すんよ。トラックが迎えに来るまで頑張りんさいよ。」と元気づけしていただいたが、すでに食欲はなく水が欲しいばかりであった。 しばらくはこのまま座っていようと、漠然と思っていた。 どのくらい時間が経過したのだろうか、あたりがすっかり暗くなってきた。これからどうすべきだろうかとぼんやりと考えながら、自然に立ちあがって祇園方面へ歩きだしていた。 どのあたりまで歩いたか記憶にないが、これ以上歩くことは無理だろう、早く横になりたいとふらふらとしていたところ、丁度通りかかったお巡りさんが、「ひどい火傷をされとるが、何処まで行かれますか」