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概要

gakuto

300んだ東側営林署の前に立って同級生の作業の様子を見ていました。皆んなは「暑いのを」上半身裸で作業している者もいました。作業始めて間もなく真夏の太陽が照りつける青空に東北からB29一機がエンジン音を止め低空で進入してきました。キラキラ光る飛行機をみて「わあ、きれいだなあ」と多くの者は作業の手を休めて見ていました。私も立って見ていると飛行機から落下傘のようなものが投下されふわりふわりと落下してきました。口々に「あれはなんだ」といっていると飛行機がゴーッというエンジン音を吹し真北に急旋回するのを見ていると一瞬電車のパンタグラフがスパークしたときのよな青白い閃光が走りました。そのすぐ後「パチン」という鋭い炸裂音がしました。その時私が立っている路上にトラックがありました。とっさに両手で目と耳を被い口を半開の体勢で伏せました。その時「ドーン」と大爆発音がして、ふわっと体が宙に浮いたまでは記憶していますがそれから先は何にも覚えていません。あまり長い時間ではなかったと思いますが、突然「お母さん痛いよう」という同級生の声で我に返りました。気がつくと真暗で何も見えません。直撃弾を受けて目が見えなくなったと思いました。その時家族も同じめに会ったのではないかということが頭を過ぎりました。私は目が見えなくなったらこれからどうして生きたらいいかと思っていると辺りが少し明るくなってきました。「あ、目が見える」この時の喜こびはどう表現していいかわからないほどの喜びでした。辺りを見まわしてみると営林署の構内の防空壕の上にいました。今まで建っていた建物は皆な倒れあたりが一望出きました。途中出会った高田先生と二、三人の同級生の一人S君が私に「竹村よ、あんたは火傷が軽いのう」と言いました。S君の顔は火傷で大きく腫れあがり目は糸を引いたように細く唇は明太子の様になっていて面相でS君とはわからないほど変っていて声でわかりました。「目が良く見えない」と言っていました。先生はズボンが焼けてボロボロになり皮ベルトからぶら下がっていました。先生は「明るい方へ逃げろ」と指示されました。明るい方へ逃げようと電車道へ引き返す途中倒れた営林署の建物の下