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概要

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54ます。 でも、その数が年々少なくなります。六十年の歳月の重さをしみじみと感じます。 一昨年、あなたのお母様の手記を式典で舟入高校の演劇部の生徒が朗読しました。 聞こえましたか? 美智子さん わたしは、命ある限り決して忘れません。あなたを……そして、あの日建物疎開に動員され、二度と両親のもとへ帰ることのできなかった大勢の市女の方々のことを。 学びたくても学べず、綺麗な服も着られず、そして、満足に食べることすらできなかった時代に、それでも、夢や希望や輝きを失わなかった素晴らしい青春があったことを。失われたあなた方の命を受け継いで、真摯に生きようと思います。 もし、私が怠惰は心に流されたら、美智子さん そのときは、どうぞ叱ってね。 悲しいことに、いまだに世界の何処かで核の話題が絶えません。 広島 長崎の犠牲では、まだ足りぬというのでしょうか? 平和を願う私たちの祈りが届くのはいつの日でしょうか…… 夾竹桃はきょうも人々を見下ろし、広島を流れる川は涼風を送っています。 長い手紙になりました。 つたない詩をあなたへ奉げてこの便りを終えます。あなたへ あの日 あなたの瞳が 最期に見たものは 何…… はじめに目くるめく白い光 そして 暗黒の世界 それっきりあなたは 燃える八月の陽の光も 秋の落ち葉のささやきも 届かぬところへ逝ってしまいました