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55 警報なき空 ああ わたしは 見せてあげたい 聞かせてあげたい わずか十三歳で逝ってしまったあなた…… 勉学にスポーツに勤しむ若者たちを 校庭にこだまする歓声を あなた方が昇華したかの地に咲き乱れる花々を 木々をふきぬける風の音を…… 今めぐり来る 六十年目の夏 無心に咲きにおう夾竹桃の下 ひとり黙す私の胸を 癒えることなき悲しみが覆います平成十七年盛夏 舟入十期 林 玲子 辰巳美智子様警報なき空井野口靖弘 昭和十九年春、舟入本町から南へ江波に向かって街路樹のプラタナスが、若葉を伸ばして緑の濃淡と太陽の光をうけて美しい。アスファルト道路の両側に歩道が続き、そばの畑にはネギ、バレイショ、キャベツ、豆類の野菜がいろいろと植えてあった。市内といっても田舎の風景とあまり変わらない。のどかな町並で民家は所どころに点在する程しか無く工場や商店も道路沿いには見当たらない。街路樹のプラタナスの樹皮の表面が、世界地図を画いたような色柄と各樹の変化が面白く印象に残っている。 広島駅から学校までの往復を歩くには、実によい運動となり当時は革靴は無いので、運動靴の底が一カ月もすると親指の下と踵の下のゴム底は薄く磨り減って